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結月　そしたら、マロさんはメンバーを集めるのが簡単ではないけれど、できなくはない、もしやるなら、もう今からでも声をかけないと、メンバーは集まらないかもって言ったんです。でも、サントリーホールが取れるかわからない。在京オーケストラはもう早くから押さえているからって。

マロ　しかも土日祝日じゃなきゃいけないって言うから、サントリーに空きはないと思ったよね。

奥田　それって２年前からの話じゃないですよね。

結月　ええ、１年数か月前ですかね。で、マロさんに会った翌日、サントリーホールに電話をして、ずっとわたしがイベントをやっていたゴールデンウィークで調べてもらったら、５月５日だけが空いていたんですよ。今年、王子でブラームスをやった同じ日。あとは全部埋まっていました。

マロ　ほんと、よく取れたよね。

結月　そしてすぐにマロさんにサントリーは空いているって連絡して、メンバーは揃いそうか調べてもらったんです。

マロ　それでＮ響の連中なんかにスケジュールを訊いてみて、７割くらいはなんとかなりそうだったから、できなくはないって答えたんだよね。

結月　それを聞いて、ホールは仮押さえしてあったので、サントリーに電話して正式に申し込んだんです。ホール使用料の頭金も払って。

マロ　そうそう。そしたら電話が来て、サントリー、取りましたって。それを聞いて、このひと、ほんとにやるんだと思った。ほんと、半分、ジョークだと思ってたからね。

奥田　プログラムはどう考えたんですか？

結月　曲は全部、わたしがやりたい交響曲を列挙しただけなんです。つまり、これだけは絶対にマロオケでやりたいっていう。だから、最初から６曲と決めたんじゃなくて、やりたい曲を数えたら６曲だったんですよ。

マロ　それもすごい話だよね。

結月　そしたら、あとでマロさんから演奏時間はどれくらいかなって言われたので、いろんなＣＤから曲の時間を大雑把に合計してみたんです。そしたら、サントリーホールの規定の時間に収まらないことがわかったんです。でも、どれか１曲をやめるなんてしたくないし、サントリーホールと相談して、開演時間を通常より３０分早めて、あとは延長料金を払うことでなんとかギリギリ収まりそうってことになりました。

奥田　でも、モーツァルトの交響曲をこれだけやるっていうのは、マロオケの東京初公演にはふさわしいですよね。

マロ　モーツァルト、６つだからね！　こんなの聞いたことないよね！

奥田　ところで、今度、マロのすごく質の高い冗談音楽ってやってほしいね。イギリスなんかでは、たとえば、アイネクで始まったら蛍の光になったり、ヨーロッパにはそういう冗談音楽の習慣があるんですよ。愛すべきホフヌングと言って。ホースにマウスピースをつけてホルンを吹いちゃうとか、明るい曲がいきなり暗くなっちゃったりとか。ユーチューブにもたまにあるじゃないですか、ラジオ体操を暗く弾いてるひととか、残念なサザエさんのテーマとか、そういうもののもっとクオリティの高いものをマロでやったら最高ですよ。ブラームスのソナタの２番を引き出すふりをして、マイスタージンガーの勝利の歌を弾いたりね。

マロ　ハハハハハ！

結月　それ、曲を知ってるお客さんじゃないと、わかんないですよね。

マロ　そうそう、イギリスはみんな、知っているひとがいるからね。日本でやって、エッ！？って思ったのは、ランナーのモーツァルト党をやったときね、じっと聴いていた。

結月　そういう曲だと思って聴いてますからね。

奥田　魔笛やフィガロの旋律があんなふうに出て来るって、ヨーロッパで音楽が好きなひとなら笑っちゃうわけですよ。

マロ　魔笛の序曲を三拍子で弾いたりするんだけど、日本ではみんな真面目に聴いてて、笑い声ひとつ聞こえないから、どうしようかなと思っちゃって！

結月　やっぱ、マロさんで最高なのは、１/１６の分数バイオリンで弾くチャルダーシュじゃないですかね！

マロ　ハハハハハ！

結月　マロさん、もしこのコンサートでサントリーホールを満席にできたら、次の年はベートーヴェン、やりましょうよ！

マロ　いいね！

奥田　次回にベートーヴェンができるとしたら、プレコンサートとして、いろんな大人の遊びの音楽アトラクションをやれたらいいですね。

結月　それ、おもしろいですね！

奥田　まずはこのコンサートを売り切れにしないとですね。

結月　売り切れればベートーヴェン、やりましょう！　モーツァルトを満席にできたら、再来年はマロオケのベートーヴェン！

マロ　そうだね！　ベートーヴェンもサントリーでできたら最高だよね！

＜終＞

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